こんなにも面白い「日本の童謡」!
熊澤弥緒が、1曲1曲全てに込めた熱い思いをお伝えします。
38曲の童謡を聴いて、大人も子供も歌ってもらえたら、どの人ともつながる事が出来るという思いを込めてCD「日本の童謡」を作りました。 日本の童謡CD購入はamazon.co.jp にて。
01. 「うさぎとかめ」
イソップ物語を題材にしたこの曲は、なんと明治34年に発表されました。明治30年頃までは、唱歌は全て文語体。しかし、言文一致運動によって口語体も用いられるようになりました。この曲もその影響で生まれたようです。当時は、本も高価だったので、子どもたちは歌うことによって、本の内容を覚えたのでしょう。現在は、内容を忘れてしまっても、すぐに携帯電話やパソコンで調べることが出来ます。しかし、そんな便利な世の中なのに、残念なことに、この曲を4番まで歌える人が少ないということに、私は気づきました。その上、4番まで収録されているCDも少ないのです。1番で終わってしまえば、カメは「おそい」と、うさぎにバカにされただけで終わってしまう悲しい曲になってしまいます。そんなことはありません。カメさん頑張り屋さんで大活躍ですよ!是非皆様も物語を思い浮かべて聴いてみてください。そして、是非4番まで覚えて歌ってみてください。記憶力アップにもつながり、お勉強や仕事にも生かされる素敵な「脳のトレーニング=脳トレ」にもなりますよ。
02. 「お正月」
日本人なら誰でも知っているこの曲は、日本が誇る天才音楽家、滝廉太郎氏が作りました。1番は男の子、2番は女の子の遊びを唄っています。お正月の楽しさがあふれる歌詞になっています。羽子板や凧を持っている子は少なくなりました。悲しいことに、最近の日本では、家族の過ごし方がテレビゲームをするということになってきました。せっかくですから、お正月は家族で外へ出てこの歌のように遊ぶと、素敵な年明けになると思いますよ。
03. 「月」
月を唄う曲はたくさんありますが、この曲はとても日本らしいと思います。なぜなら、メロディーは五音音階を使い、歌詞は七五調だからです。子供にも覚えやすい簡単な言葉とリズムの軽さで月が出た喜びを表しているようですね。
04. 「雪」
北国育ちの私でも、雪が降ると嬉しくなって外へ出てしまいます。真っ白い綿帽子をかぶる街は美しく、心が洗われます。皆様も猫のようにコタツで丸くならずに、犬のように雪の中を駆けてみてください。心も雪のように軽くなりますよ。
05. 「案山子(かかし)」
近年「かかし」を見かけることが無くなってきました。外国の案山子はとても怖く見え、ホラー映画等にも使われますね。しかし、日本の案山子は、どこか優しさがあるように思えます。だからカラスに笑われてしまうのでしょうか?この曲は日本の景色をうたっていますので、シリアスに歌うと案山子が怖くなるので、コミカルに歌ってみてくださいね。
06. 「かたつむり」
雨の日、葉っぱの上をひたむきに進む姿を見ると「頑張って!」と応援したくなります。しかし、つい、触ってみたくなり、指先でつつくと、殻の中に入ってしまう姿も可愛らしく思えます。しかし、かたつむりにとっては大迷惑なことだったと、大人になると思います。かたつむりって、子供の頃は、かまいたくなる存在だったと思います。皆様も子供の頃にもどって、無邪気に歌って欲しいです。
07. 「富士山」
2013年富士山は世界遺産に登録されました。日本人としてとても嬉しいニュースでした。この曲は、日本一高くて美しい富士山を、子どもにもわかるような歌詞で伝えています。日本中の皆様で歌い、世界中に広めていただきたい曲です。
08. 「汽車」
子供の頃、汽車の力強さに憧れました。なぜなのでしょうか?汽車は多くの人の力によって動くから魅力を感じるのでしょうか?多くの人の夢をのせて走るからなのでしょうか?そんな気持ちを表したような歌詞と、汽車を思わせるリズミカルな伴奏。目をつぶって口ずさめば、まるで旅をしている気持ちになりませんか?。
09. 「春の小川」
スミレやレンゲが咲く野原、静かに流れる小川。こんな美しい景色が昔、東京の渋谷にあったのです。今でもコンクリートの道路下を小川は流れているそうですが、どんな色の小川なのか、想像したくはないですね。さらさらと流れる川のように、そして皆様へささやきかけるように演奏をしたくなる素敵な曲です。
10. 「鯉のぼり」
この曲より「やねより高い鯉のぼり」の方が近年では馴染みがありますが、5月が近づくと、街の中で聴こえてきます。今から約100年も前に作られた曲ですから、難しい言葉が多く、歌詞の意味を知らない方も多いと思います。しかし、端午の節句らしく、男の子の力強さを感じる曲だと思いませんか?瓦の屋根も、空を泳ぐ鯉のぼりも目にすることが少なくなってきた日本ですが、せめて歌だけでも残して文化を伝えていくべきだと思っております
11. 「海」
最近では、海の歌といえば、「うみはひろいな おおきいな」の曲の方がよく知られています。しかし、私はこちらの「海」の曲の方が好きです。今ではあまり使われていない言葉ですが、どこか心地良い響きで、懐かしい気持ちになると思います。日本の海を美しい日本語で伝えている詩は、これからも伝え継いでいきたいと思います。
12. 「夕焼け小焼け」
中村さんが住む八王子の風景を歌詞にして、草川さんが、のどかで美しいメロディーで仕上げました。大正12年に発表されましたが、広く普及したのは関東大震災後のようです。誰もが覚えていたい美しい風景、しかし、震災で失ってしまいました。日本人は歌うことで、この風景を思い出し、強くなれたのかもしれません。その後、何度も日本の景色は変わり、悲しみに包まれたと思います。しかし、何度でも立ち上がり、美しさを取り戻してきたと思います。未来の子どもたちも、この歌を歌い続け、日本の美しい風景が心の中で、色あせずに残ることを願います。
13. 「あわて床屋」
北原白秋さんの詩に山田耕筰さんが曲をつけました。1番から6番まで同じですが、最後の後半2行は全く違うメロディーになっています。北原白秋さんは、そこの部分がイメージに合っていて、ますます気に入ったそうです。そのおかげで、山田耕筰さんは一気に有名人になり、名曲として広まったようです。子供が歌うにはとても難しいテクニックが多い曲です。ですから、「童謡」ではなく、「歌曲」として発表される人もいます。しかし、生前、山田耕筰さんは「子供には芸術的内容を直感で感じることが出来るはず」と言って、あえて難しい童謡を作ったそうです。私たちもあえて、童謡として発表させて頂きます。「ちょっきん、ちょっきん、ちょっきんな」という歌詞だけでも口ずさんでみてください。おどけた可愛いカニがハサミを動かしている姿が目にうかびませんか?
14. 「雨」
北原白秋さんの詩に、多くの作曲家が様々なメロディーをつけています。その中で、最も「雨が嫌だ」という子供の気持ちにぴったりなのが、弘田龍太郎さんの曲だと思います。雨がシトシト降り続くように、短調で暗く歌い続け、後奏の最後に、長調になって終止。まるで、やっと雨がやみ、晴れた。と感じる構成になっています。この曲は、J.S.バッハの曲のようにも思えます。バッハは短調の曲でも、最後は長調にすることが多いです。そこには、音楽の喜びを神に感謝しているといわれたバッハらしさを感じます。人生は辛くても、必ず希望の光がさしてくれるということを表現していたと思って私は演奏をしています。「雨」も小さな女の子が、ただ悲しく遊べないことを嘆いて終わるのではなく、最後に晴れたという喜びでしめ括っています。是非後奏まで聞いてください。喜びを皆様に伝えられますように。
15. 「通りゃんせ」
江戸時代から伝わる「わらべうた」を本居長世さんが独唱用として編曲した作品です。大正9年発表ですが、日本風のモチーフを使いながらも海外のミュージカルや映画のサウンドトラックにも思えるドラマチックな前奏に驚き、心の底から「なんて格好良くて、ぞくぞくする怖さを表現した編曲なのだろう」と感じました。楽譜には(甲)(乙)と書かれていて、二人の会話を一人で歌うよう指示されています。現在、この曲の内容は、様々な解釈があります。例えば、門番にお参りに行きたいと懇願する母、しかし帰りは大金を支払わないと町に入れてもらえない、だから「行きはよいよい、帰りはこわい」と歌われるという説があります。他のどの説にしても、子どものために困難に立ち向かう母の強さを感じる内容です。そのような曲を、なぜ横断歩道で使うのでしょうか?といつも不思議に思います。この曲を知れば知るほど、青信号にふさわしいとは思えないのです。だからこそ、皆様にも歌って頂き、再度考えて欲しい曲です。
16. 「七つの子」
カラスは人間にとって身近な鳥ですが、主役になることは少ないと思います。黒いから可愛くないとか、怖いと言われることも多いかと思います。しかし、夕暮れ時に、山へ向かってとぶカラスの鳴き声を聞くと、誰もが家を思い出し、帰りたい気持ちになるのでは?と思います。そして、帰りたいと思える場所には、会いたい人がいるのです。カラスもきっと「はやく会いたい、かわい(かわいい)子たち、待っていてね」と、子どもたちに聞こえるように大きな声で鳴いているのかしら?と思うと愛おしい鳥に思えてきませんか?私たちも、相手に愛情をしっかり伝えられるようにしたいと思わずにはいられません。そのような大切なことを思い出すことが出来る曲だと思います。
17. 「どんぐりころころ」
作詞家の青木存義さんは、宮城県松島町の大地主の息子さんでした。そしてお屋敷の庭に楢木(どんぐりがなる木)と大きな池があり、そこにドジョウを飼っていて、その時の思い出を歌詞にしたそうです。1番、2番と物語になっていますが、どんぐりが泣いて、ドジョウを困らせて歌が終わるのは可哀想だと思った岩河三郎さんが3番を作りました。青木さんの生家の跡地に建っている町立松島第五小学校の生徒さんたちが3番を現在まで歌い継いで来たようです。ドジョウやどんぐり、そしてお池がある家に住める青木さんは「ぼっちゃん」ですね。子供の頃は何気ない日常の場面が、一生の宝物になると思います。だれかに伝えられるなんて本当に素敵な宝物ですね。
18. 「しゃぼん玉」
野口雨情さんは、どのような気持ちでこの詩を書いたのでしょうか…。と幼い頃思いました。なぜなら、この曲の背景を新聞で読んだからです。野口さんは長女を生まれてすぐに亡くされました。「風風 吹くな」は野口さんの気持ちが痛いほど込められているように感じます。しかし、私は、野口さんの悲しみだけをこの曲にのせてはいけないようにも思うようになりました。それは、野口さんのお嬢さんが、もしも大きく育ってしゃぼん玉で遊んだら、こんな顔をしたのかな?こんなことを言ったかな?と想像をして詩を作ったのかもしれません。子を持つ親になって、初めて新しい解釈を持ちました。希望にあふれる思いで、この曲を演奏していきたいです。
19. 「月の沙漠」
色彩豊かな詩、そして切なく美しいメロディー。この曲は子供の頃、胸を躍らせて読んだ「アラビアンナイト」のような異国情緒あふれる物語にも思えます。夜、寝るときに歌えば、夢の中に王子様とお姫様が出てきてくれそうです。作詞の加藤まさおさんは画家、詩人、そして童話作家という様々な才能を持っていました。皆様も是非、王子様とお姫様は、この後どこへ行ったのか想像をしてみてください。そして物語を完成させてください。いつまでも、大切な思い出として心に残る曲になると思いますよ。
20. 「雨降りお月」
大正ロマンを感じるなつかしいメロディー、そして絵本の中から飛び出してきたかのような歌詞。流石、野口雨情さんと中山晋平さんのゴールデンコンビの作品です。しかし、曲の完成度は高いけど、レコードにするには短かすぎるということで、後に「雲の蔭(くものかげ)」と いう曲を二番にして、発表をしたと言われています。どことなく、雨の中、お嫁にゆくのが寂しいように感じます。しかし、シャラシャラと鳴る鈴の音が華やかにも聞こえます。
21. 「時計台の鐘」
観光名所となっている「札幌市時計台」の歌です。作詞・作曲をした高階さんはバイオリニストです。奥様のアルト歌手、ます子さんが故郷の札幌でコンサートをした時に作った曲です。時計台の鐘の音を表した前奏を聴くと、札幌の光景が目の前に広がるようです。この曲は何度も改訂され、様々な楽譜が残されています。それだけ高階さんが思いを込めた曲だとも思われます。札幌では今も変わらず鐘の音を聴くことが出来ます。ビルの間にひっそりと建つ時計台の鐘の音は、車の騒音にかき消されることもあります。しかし、約130年間、毎日休まずに響く鐘の音は心に深く響きます。
22. 「うれしいひなまつり」
七五調の歌詞、そしてくらい日本音階を思わせる短調の曲。4・7抜き(ファ・シ)音階なら完全に日本の民謡になりますが、7音(シ)のみ抜いたことで、少し西洋の音楽を感じられます。しかし、「嬉しい」という言葉とは遠いように思えるこの曲。きれいな着物を着て喜ぶ姿を見て、寂しい気持ちを持つ父親の心境を歌った曲に思えませんか?
23. 「汽車ぽっぽ」
昭和13年、当初「兵隊さんの汽車」という題名で発表されました。しかし、昭和20年に「汽車ポッポ」に改め、内容も変化しました。前奏は当初の名残があり、シューベルトの「軍隊行進曲」をもとにして作られたそうです。1818年、シューベルトが知人の二人の娘さんに作った曲を、1938年、富原さんと草川さんが日本の子どもへの歌にしました。そして、 2014年、森口さん、熊澤が、これからの子どもたちのために、約200年の思いを込めて演奏します。
24. 「やぎさんゆうびん」
昭和14年に詩が発表され、なんと14年後の昭和28年に全国的に広まったそうです。まどさんのユーモアあふれる歌詞に、流石は團伊玖磨さんと思う、可愛いメロディー。子供時代、なかなか終わらない歌詞に興味を持ったことでしょう。普通ならお手紙を読まずに食べたら、正直に「読みませんでした」とは言えないでしょう。しかし、「さっきの手紙のご用事なあに」と言えるヤギさんのように正直者でいたいと思います。そして、そのような事が言える間柄の人間関係がうらやましいです。
25. 「うみ」
戦前、3番の歌詞は「うかばして」と歌っていたそうです。しかし戦後、「うかばせて」と修正されました。このCDは言葉使いの点を考慮して、戦後の歌詞を使用しました。七五調の歌詞が日本風に聴こえ、日本の景色や日本人の心を歌っているように思えます。
26. 「ぞうさん」
戦後、上野動物園には「ぞう」がいませんでした。作詞者のまど・みちおさんは、息子さんに「『ぞう』はどんな動物なの?」と聞かれて、お話をしてあげるうちにこの詩が思い浮かんだそうです。今なら子どもに質問をされても、簡単に携帯電話やパソコンで検索をして見せてあげられます。しかし、まどさんのように言葉で説明をした方が、夢も膨らみ、子どもの記憶に深く残るのかもしれません。「お鼻が長い」という欠点を嘆くのではなく、「お母さんも長いのよ」と言える人間になって欲しいという、まどさんの願いを、大切に歌い継ぎたいと思います。
27. 「お星さま」
夜空にきらめく星についての曲は、世の中でたくさん作られております。しかし、お星さまがお友達のように、話しをする、電話をする、という詩はめずらしいと思います。昔の夜空は無数に星があって、キラキラ輝き、リンリンと音がなっているようにも思えたことでしょう。前奏はまるで電話がなっているようにも思えませんか?美しい詩に美しいメロディー。随所に「流石!」とうならさずにはいられない高度な和声が出てきます。讃美歌のように、ただ美しさを楽しみ、感謝をする音楽のように歌っていただきたいです。
28. 「とんぼのめがね」
とんぼの大きな目が、まるで眼鏡のように思えたから出来た詩に、どこまでも高く遠くへ飛んでいくかのように思えるメロディーがつけられています。人間に、もっと大きな目がついていたら、どんな世界が見えるのでしょうか?そして、大空に向かって飛ぶことが出来たら、どんなに気持ちが良いのでしょうか?。人間の夢をのせて、どこまでも高く遠くへトンボが飛べる場所が無くなりませんように。
29. 「おつかいありさん」
世界的にも有名な作曲家、團伊玖磨さんが作ると、こんなに短くても名曲になるのです。軽やかで、でもどこか、ちょっとずっこけた感じの旋律が詩とぴったり合っていますね。ある晴れた日に、足元を見てみてください。どこかユーモラスな動きで、懸命に頑張って働くアリさんを見ると元気が湧いてくるはずですよ。
30. 「かわいいかくれんぼ」
本当に可愛い曲です。サトウハチローさんの歌詞を読むだけでも、情景が色鮮やかに思い描くことが出来ます。そして中田喜直さんの、メロディーが素晴らしいです。どこか日本風な旋律を残しながら、西洋のピアノ曲の良さを取り入れています。「かくれんぼ」は楽しいけれど、「みつかった」時のちょっぴり切ない悲しさが、マイナーコードで表されているかのように思えます。公園や野原でのかくれんぼ。そんな子供の頃の思い出に、この曲を口ずさみながらひたってもらいたいです。
31. 「めだかの学校」
作詞者:茶木さんのお子様が3歳の時、小川のメダカを見て、「めだかの学校」と言ったことをヒントに作られたそうです。何気ない子供の一言は、大人をハッとさせてくれます。
美しい心で、清い川を見ているからこそ、出てきた言葉は何事にも変えられない、大人への素晴らしい贈り物だと思います。大人になってもけがれのない、透明な心で世界を見ることが出来たら、もっと世界は美しいのでしょうね。
32. 「おかあさん」
「おかあさん」はいつまでも、そしてどんな時でも子供の事を思っています。大切な子を、いつも守ってあげたいという気持ちは、どんなに遠く離れていても、時がたっても変わりません。古代から、「笛の音に人の魂が宿る」と言われています。フルートの音色の秘密がそこにあります。お母さんとの優しい思い出や、お母さんの子供を思う気持ち、子どもに初めて「おかあさん」と言ってもらえた幸せな瞬間をいつまでも忘れないように…そんな思いを込めて伴奏を編曲しました。
33. 「ことりのうた」
まるで「ことり」がさえずるようなトリルから始まる前奏。本来はピアノで演奏します。しかし、オーケストラで「ことり」の鳴き声を表す時はフルートやピッコロを使います。私の中でこの曲はカナリアのような鳥を想像していましたので、今回はフルートを使用しました。街の中でも耳をすますと優しい小鳥の声がきこえる日本が無くなりませんようにという願いを込めて演奏をしました。
34. 「さっちゃん」
作詞者:阪田さんと作曲者:大中さんは従兄弟どうしです。そんなお二人が男の子の優しい心を表した童謡を作りたいという思いで出来た曲です。しかし、昭和34年のNHKラジオの番組で大人の女性が歌って発表しました。幼い頃、私はレコードを聴きながら「なぜ、男の子が歌わないのかな?どうしておねえさんの声なの?」と思っていました。 あれから大人になり、どうしても「さっちゃん」は男の子に歌って欲しいと思った私は、少年の心をいまだに持ち続けている森口さんにお願いして歌っ てもらいました。
35. 「いぬのおまわりさん」
この前奏を聴くと、私は、もう他の曲は思い浮かばないです。そのくらい、印象的な前奏は、まるで迷子になった子猫ちゃんの鳴き声から始まり、犬のおまわりさんの声につながっているようにも思えます。そして旋律は、シンコペーションというリズムを使って、登場人物(登場動物?)の緊張感を表しているように感じます。この曲は最初に絵が描かれ、それによって詩が作られ、最後に曲がつきました。だからなのでしょうか?音楽も詩もしっくりして、まるで映画のように目の前に情景が広がる曲だと思いませんか?目をつぶって、是非想像してみてください。素敵な動物の街に自分が迷い込んだように思えますよ。
36. 「あめふりくまのこ」
大人になると雨は「憂鬱な日」になる人が多いと思います。でも、子どものころは、雨が降って出来た小さな水たまりは海のように思え、そしてそこから流れ出る小さな一筋の水は、川のようにも思えました。この曲は、作詞者、鶴見さんのご長男が雨の中、庭でじっと水の流れを見ている姿を詩にしたと言われています。5番まで、是非歌ってください。そして、自分たちが小さな可愛い熊の子みたいになれば、雨の日の外出も楽しくなるはずですよ。
37. 「一年生になったら」
作詞者、まど・みちおさんの夢が膨らむ素敵な詩と、作曲者、山本直純さんの心が弾む素晴らしい旋律で作られた名曲です。明治時代から本格的に入ってきた西洋音楽の文化が、昭和の後期になると、日本に完全に定着したことが、この曲の音楽の作り方からも、伝わります。私は幼稚園の卒園式でこの曲を大きな希望を持って歌った思い出があります。子供にとって「100」という数は無限に広がる夢のような数でもあり、また同時に未知の数でもあります。大人になれば、「100」という数の価値観は変わってしまいます。しかし、この曲を歌った時の期待や希望という気持ちは、いつまでも忘れないでいてほしいと思います。
38. 「春が来た」 ボーナストラック
ボーナストラックとして「ふじようちえん」のお友達622人が、みんなの心の中にある「春」を思い浮かべて歌ってくれました。 ちょっぴり緊張しながら、声を出して歌う姿に、ピアノを弾く私は感動で涙が出そうになりました。春は生命が息吹く希望に満ちた季節です。 「春が来た」という曲は私にとって、これから童謡がどんどん世の中に広がるようにという希望の象徴となる曲です。
音楽は世界中、どこでも言葉が通じなくても人々がつながる事の出来る素晴らしい物です。そして音楽は、世代を越えてつながる事も出来るのです。